外国人の労働保険はどうしたらいいの?に社労士がお答えします。【詳細版】

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外国人の労働保険はどうしたらいいの?に社労士がお答えします。【詳細版】

日付:2016年7月23日

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労働保険については、簡単に「外国人従業員の労働保険はどうしたらいいの?にお答えします。」のページで

説明しましたが、もっと詳しく知りたい方のために今回は社労士さんに説明してもらいました!

給付の内容や手続きの詳細も記載されているので、チェックしてみてください。それでは行ってみましょう~!

 

労働保険とは?

労働保険とは労災保険雇用保険をまとめた言葉です。

保険給付はそれぞれの保険制度で別個に行われていますが、保険料の納付等については一体のものとして取り扱われています。

会社で働く外国人労働者は、適用除外条件にあてはまらない限りは、加入しなければなりません。

それではそれぞれの保険の内容を見てみましょう。

 

1.労災保険

正式名称は労働者災害補償保険法です。

お仕事中または通勤途中の病気やケガをした場合、治療やその他の補償を会社がしなければなりません。

労災保険は保険料を納付することでその補償を国が変わって保険給付する制度です。

労災保険は個人が加入するものではないので、1人1人加入するかしないかを決めることはできません。

 

①労災保険に加入しなければならない会社

従業員を1人雇った場合は必ず加入しなければなりません。

外国の法人が日本に駐在所や支社・支店を設立した場合でも、従業員を1人雇った場合は加入することとなります。

※上記に関わらず加入しなくてもよい会社・・・個人経営で従業員が5人未満の農林水産業。

ただし従業員の半分以上が加入を希望した場合は加入できます。

 

②労災保険に適用される人

日本国内の会社(法人・個人事業主関係なく)で働く外国人労働者は短時間で働くパート・アルバイトも含め全て該当します。

日本で就労可能な在留資格を持っている外国人はもちろん、資格外活動許可を得てアルバイトしている外国人も適用されます。

たとえ雇用した外国人労働者が在留資格を持っていない不法滞在者であっても労災保険は適用されます。

 

③加入手続き

従業員を1人でも雇ったら、従業員を初めて雇った日から10日以内に「労働保険保険関係成立届」を労働基準監督署に提出することで加入できます。

会社が加入するものですので、従業員1人1人が加入するかしないかを決めることはできません。

新入社員が増えるたびに個別の加入手続きをする必要もありません。

 

④労災保険給付の種類

従業員がお仕事中や通勤途中にケガや病気などの災害に遭った場合に補償される給付の種類は以下の通りです。

保険給付の種類 どんなとき 保険給付の内容
療養(補償)給付 病院(労災病院・労災指定病院)で治療を受けたとき 治療そのものがされます(無料での治療)
労災病院や労災指定病院以外で治療し、費用を払ったとき その治療にかかった費用
休業(補償)給付 仕事ができず賃金を受けられないとき 仕事に就けない場合の賃金の補償(休業4日目から補償)

1日につき給付基礎日額の60%

障害(補償)年金 ケガや病気が治ったけれど障害が残ってしまった場合 障害の程度(障害等級第1級~第7級)に応じて給付基礎日額の313日分~131日分の年金
障害(補償)一時金 ケガや病気が治ったけれど障害が残ってしまった場合 障害の程度(障害等級第8級~第14級)に応じて給付基礎日額の503日分~56日分の一括払いのみ
傷病(補償)給付 療養(補償)給付を受けている従業員が1年半治療続けても治らず障害等級に該当する場合 障害の程度(障害等級第1級~第3級)に応じて給付基礎日額の313日分~245日分
遺族(補償)年金 死亡したとき 遺族の数に応じて、給付基礎日額の245日分~153日分の年金
介護(補償)給付 障害(補償)年金または傷病(補償)年金を受けている人に介護が必要となった時 介護の状況により、介護にかかった費用(上限額あり)
葬祭料・葬祭給付 従業員が死亡した人のお葬式をするとき 315,000円+給付基礎日額の30日分

※「給付基礎日額」・・・労災保険で給付される金額の計算の元になる金額で、お仕事中の病気やケガがあった日より3カ月前の賃金から計算した1日当たりの賃金額のことを言います。

 

⑤労災保険料について

事業主が全額負担するため、従業員が支払う必要はありません。

保険料は従業員全員の賃金総額に業種に応じた保険料率をかけた額を年に一度納付します。

 

⑥労災保険制度を使う時に注意すること

お仕事中の病気やケガにより病院で治療を受ける際は、必ずそのことを病院に知らせてください。

通常の病院の治療と同じように健康保険証を見せて治療を受けてしまった場合、後で労災扱いにするのにとても面倒な手続きをしなければならなくなります。

社長様は、従業員がお仕事中、通勤中にケガなどをした場合にはすぐに会社に連絡するように指示し、手続きについても事前に周知しておくようにしましょう。

 

また、外国人従業員がお亡くなりになってしまった場合には、その国内または国外にいる遺族が受けられる年金の請求にかかわる書類を取り寄せ、

翻訳して提出しなければならないなど大変な手続きが発生します。

会社としても責任をもって遺族と連絡を取り合い、誠意を持って対応することが大切です。

 

⑦事業主や役員が加入できる労災保険

労災保険は従業員が加入できる保険制度ですので、事業主である社長や役員は加入できません。

しかし事業主や役員も従業員と同じようにお仕事をしてケガや病気をすることもあります。

そのために中小事業主のための労災保険加入制度である「特別加入制度」があります。

加入するためには労働保険事務組合に委託する必要がありますので、詳細はお問い合わせください。

 

2.雇用保険

雇用保険は失業した場合や、育児休業、介護休業、高年齢者の継続雇用するための給付などがあります。

 

①雇用保険に加入しなければならない会社

こちらも従業員を1人でも雇ったら適用除外にあてはまらない限り、加入しなければなりません。

外国の法人が日本に駐在所や支社・支店を設立した場合でも、従業員を1人雇った場合は加入することとなります。

※上記に関わらず加入しなくてもよい会社・・・個人経営で従業員が5人未満の農林水産業。ただし従業員の半分以上が加入を希望した場合は加入できます。

 

②雇用保険に適用される人

・週の所定労働時間が20時間以上の人

・31日以上引き続き雇用が見込まれる人

※期間の定めのない雇用契約をしている場合(正社員など)

31日以上の雇用契約をしている場合

31日未満で雇止めが確約されていない場合(契約の更新をする可能性がある)

 

③雇用保険の適用除外の人

適用除外となる人は主に以下のような方です。

・65歳のお誕生日の前日以降に雇用された人

※65歳前から雇用され65歳以降も引き続き働いている人は適用除外にはなりません

・週の所定労働時間が20時間未満の人

・31日以上雇用が見込まれていない人

・短時間労働者(35時間未満)で、季節的に雇用される人

・船員保険の被保険者

・昼間学生

・個人事業主

・法人の代表取締役、役員

※役員であると同時に、部長・支店長・工場長など従業員としての身分もあり、労働者としての賃金を支給されているような人は加入します。

 

※その他に外国の会社で雇用契約があり、その会社の日本国内の事業所に赴任してきたような人は加入できません。

(現地採用の日本人も含まれる)

 

④加入の手続き

雇用保険の適用対象となる人を雇い入れた場合は、労災保険の保険関係成立届を提出した後、

公共職業安定所(ハローワーク)にて「事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を提出することにより加入できます。

従業員を雇い入れるごとに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出して加入手続きをすることになります。

外国人従業員の加入手続きの際には、「雇用保険被保険者資格取得届」の備考欄に在留資格や在留期間などを記載する必要があります。

離職の際に提出する「雇用保険被保険者資格喪失届」も同様です。

提出期限は、取得届は取得月の翌月10日まで、喪失届は離職日から10日以内となります。

 

雇用保険

 

 

※雇用保険の被保険者とならない外国人労働者を雇い入れ、離職した場合も「外国人雇用状況届出書」に

その外国人の必要事項を記載して公共職業安定所に届け出る必要があります。

雇用保険2

外国人と判断できずに雇用した場合を除き、外国人であることが明らかなのにもかかわらず、

届け出をしなかった場合は罰則が適用されますので注意しましょう。

 

⑤雇用保険の給付の種類

給付の種類 給付が受けられるとき
求職者給付 基本手当 離職して、就職の意思と能力があるが失業状態にあるとき
技能習得手当 職安から指定された公共職業訓練を受けるとき
寄宿手当 公共職業訓練を受けるために家族と別居して暮らすとき
傷病手当 ケガや病気で職業につけないとき
高年齢求職者給付 65歳前から引き続き雇用されていて、65歳以降に離職して失業状態にあるとき
特例一時金 季節的に雇用されているなどの短期雇用特例被保険者が失業したとき
日雇労働求職者給付 日雇労働者が失業したとき
就業促進給付 再就職手当 基本手当を受給できる人が再就職したとき
就業促進定着手当 再就職先の賃金が離職前の賃金より低下しているとき
就業手当 常用雇用ではない形で再就職したとき
常用就職支度手当 障がい者など就職困難な人が安定した職業に就いたとき
移転費 就職のために引っ越しする必要があるとき
広域求職活動費 広範囲の地域にわたり求職活動をする必要があるとき
教育訓練給付 厚生労働大臣が指定した教育訓練を受講し修了したとき
雇用継続給付 高年齢雇用継続給付金 60歳以降の賃金が60歳前の賃金よりも75%未満以上低下したとき
育児休業給付金 子どもを養育するために育児休業を取得したとき
介護休業給付金 家族を介護するために介護休業を取得したとき

 

 

⑥雇用保険の保険料

毎月支払われる賃金に雇用保険料率をかけた額となります。(厚生労働省ホームページより抜粋)

雇用保険2

 

労災保険は事業主が全額負担するのに対し、雇用保険では労働者負担分は毎月の賃金から控除されることとなります。

外国人が入社する際にはその旨を周知するようにしましょう。

 

⑦外国人が退職する際の注意

  • 失業給付について

従業員が退職した際には「雇用保険被保険者資格喪失届」と同時に

「雇用保険被保険者離職証明書」をハローワークに提出すると「離職票」が発行されます。

その「離職票」を退職した従業員に渡すのですが、雇用保険の制度を知らない外国人従業員は

その時点で自動的に失業給付が支給されるものだと思い込んでしまっている場合があります

失業給付は、ハローワークで求職の申し込みをして、離職票を提出することにより、

要件に該当すれば受給資格を得ることができます。

ただし、それだけでは失業給付を受給することはできません。

ハローワークに一定の期間ごとに求職活動を行っているかを確認され、認定されることにより初めて失業給付を受給することができます。

また、退職理由や退職時の年齢、勤務年数などによって給付日数も異なります。

 

  • 退職証明書の発行

外国人従業員が退職する際には離職票とは別に「退職証明書」を発行するようにしましょう。

外国人従業員が転職や退職して起業する場合、自分が今持っている就労ビザを引き続き有効とするために

入国管理局で手続きが必要となる場合があります。

その際には自分がいつからいつまでどこで勤めていたのかを報告するために退職証明書が必要となる場合があります。

日本国内で転職・起業するとは限りません。母国に戻ったり、日本以外の外国で活動するかもしれません。

そういう場合に備えて、日本語と母国語の退職証明書を発行しておくとよいでしょう。

 

労働保険について、わからないこと、確認したいことなどございましたら専門家の社労士さんに相談してみましょう!

 

<この記事を書いてくれた社労士さん>

社会保険労務士 築城 由佳 先生 (ついき社会保険労務士事務所 代表)

TEL:06-6476-5088(24時間対応)

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