外国人の社員研修には「研修」ビザ!条件と注意点
日付:2016年2月4日
1.「研修」ビザとは?
①「研修」ビザが該当する活動
「研修」とは、日本の企業などで技能・技術・知識を修得する活動をさします。
日本で修得した技能などを本国に持ち帰って移転することを目指しています。
その点では外国人技能実習制度と似ていますね。
※外国人技能実習制度との違いについてはこちら→
「研修」ビザは、日本の企業が海外の現地法人の写真を日本に呼び寄せて行う
社内研修や工場見学といった活動が該当します。
研修の内容は、以下に限定されています。
・実務研修をともなわない研修
・公的研修(国や地方公共団体などの資金により主として運営される事業として行われる)
※ただし、公的機関が「研修」ビザを利用して外国人を呼び寄せる場合に限り、実務研修を伴う研修が認められています。
「実務研修」とは、商品の生産やサービス提供(有償)の一部を行うことです。
例えば、生産ラインの機械を操作する実習は実務研修に含まれますが、
生産する時間と場所が実際に稼働している生産ラインとは別に設置された場所で行われる場合は
実務研修には含まれません。
②「研修」ビザの対象業種・職種
「研修」ビザには業種・職種の制限はありません。
ただし、すでに研修生が身に着けている技能や、日本から移転すべきレベルに達していない技能、
単純な反復作業などは対象外です。
③研修手当
研修生は、研修を受けることによって報酬を受けることはできません。
報酬を受けると就労活動を行っていることとみなされるため、「研修」ビザには該当しないんです。
ただし、「研修手当」という形で日本での生活費や交通費(いわゆる実費)を支給することはOKです。
④研修時間
夜間や早朝の研修は原則として認められません。
ただし、農業や酪農関係については、早朝や夜間の作業が認められるケースがあります。
(個別に判断されることになります。)
また、交代制の研修については一定の場合についてのみ認められています。
<交代制の研修が認められる条件>
★以下の条件をすべて満たす場合で、かつ交代制の研修を実施した方がより効果的な研修が行われると判断される場合
・日本人従業員の代替として研修生を従事させるなどのおそれが全くないこと
・深夜(22時~5時まで)に研修が実施されないこと
・研修指導員が勤務する時間帯に行われるものであること
・研修効果の観点から、交代制による研修を行うことを真に必要とする合理的な理由、必要性が認められること
・交代制による研修時間が総研修時間に比べて著しく長期にわたるものではないこと
2.「研修」ビザの条件
※実務研修を含まない場合
研修内容 | 同一作業の反復のみで修得できるものではないこと |
本国(申請人の住所地)で修得することが困難な技能等であること | |
申請人(外国人) | 18歳以上 |
帰国後に修得した技能等を要する業務に従事することが予定されていること | |
受入れ機関 | 常勤職員で、修得技能等につき5年以上の経験を有する研修指導員がいること |
研修継続不可能な場合は、直ちに、受入れ機関が地方入国管理局に当該事実及び対応策を報告すること | |
研修生の帰国旅費の確保などの措置を講じていること(あっせん機関でもOK) | |
研修の実施状況に係る文書を作成し備え付け、研修終了日から1年以上保存すること |
4.「研修」ビザで気をつけたいこと
①研修生のビザ変更
原則として、ビザ(在留資格)の変更は認められません。
<例外>日本人などと結婚した場合
②研修生の資格外活動
研修生の資格外活動は原則として認められません。(研修に専念してもらうため)
③再研修
一度日本で研修を受けて母国に帰国した後で、もう一回研修を受けたいという場合は
以下の条件を満たすかどうか個別に判断されます。
(1)より上級の技能等、または関連する技能等の習得を目的とすること
(2)前回の研修で学んだ技能等が母国で活用されていること
・前回の研修で学んだ業種と全く違う業種に就職していないか?
・研修期間(技能実習の期間も含む)と比べて帰国後の就業期間が極端に短くないか?
(3)前回と全く異なる業種の研修ではないこと
前回と全く異なる業種の研修を受けたい場合は、その理由を合理的に説明する必要があります。

神戸大学国際文化学部卒業後、大手電機メーカーにて海外営業・マーケティング業務を経験。
育児休業中に行政書士資格を取得し、2015年12月に独立。
開業当初から入管業務(ビザ申請)に特化し、現在では年間500件以上の相談、100件以上の申請を行う。