海外留学生必見!留学ビザの基礎知識
日付:2016年7月26日
政府が2020年をめどに海外留学生を30万人受け入れることを目標に掲げたことを受け、日本は積極的に留学生を受け入れています。
一方で、留学生の受け入れが不法残留者や不法就労者の増加につながらないよう、留学生のビザに関する審査は、
・適切な入学選抜や在籍管理を行っている教育機関からの申請については迅速・円滑に処理する
・適切な入学選抜や在籍管理ができておらず、不法残留者や不法就労者を多数発生させている教育機関からの申請については厳正に審査する
・日本で働くことを目的とした留学ビザについては厳正に審査する
という方針が取られています。
また、2015年に入管法が改正され、これまで高校生以上の留学生が対象だった留学ビザが、小中学生まで対象となりました。
そのため、子どもに日本で教育を受けさせたい!という場合、条件を満たせば小学生でも留学ビザを取得して日本の学校に通うことができます。
このページでは、外国人の方が日本の学校に通う場合に取得できる「留学ビザ」について詳しく説明していきます!
留学ビザが該当する教育機関(学校)とは?
「留学」ビザが該当するのは、次の教育機関で教育を受ける活動です。※原則、夜間部、通信制は含まれません。
・大学
・大学に準ずる機関
・高等専門学校
・高等学校(中高一貫校の後期課程、特別支援学校の中学部を含む)
・中学校(中高一貫校の前期課程、特別支援学校の小学部を含む)
・小学校(特別支援学校の小学部を含む)
・専修学校(専門課程、高等課程、一般課程)
・各種学校(日本語学校、インターナショナルスクールを含む)
・設備及び編成に関してこれに準ずる教育機関
・外国において12年の学校教育を修了した者に対して、日本の大学に入学するための教育を行う機関
- 大学
「大学」には、4年生の学部のほか、大学の専攻科、別科、短期大学、大学院、大学付属の研究施設が含まれます。
- 大学に準ずる機関
大学と同等と認められる機関には、次のような機関があります。
水産大学校 | 海上保安学校 | 職業能力開発大学校 |
海技大学校(分校を除く) | 気象大学校 | 航空保安大学校 |
航海訓練所 | 防衛大学校 | 職業能力開発短期大学校 |
航空大学校 | 防衛医科大学校 | 国立海上技術短期大学校(専修科に限る) |
海上保安大学校 | 職業能力開発総合大学校 | 国立看護大学校 |
※その他、告示で指定された外国の教育機関や国際連合大学が含まれます。
- 高等専門学校
いわゆる「高専」と言われる教育機関が該当します。
高等専門学校の修業年限は5年(商船に関する学科については5年6か月)で、入学資格は高校の入学資格と同じです。
- 専修学校
専修学校は、大きく3つに分類することができ、留学ビザは3つとも該当します。
①専門課程
高校を卒業した者に対して教育を行う教育課程で、「専門学校」と呼ばれます。
修了時には、学習時間や内容によって「専門士」や「高度専門士」という称号を付与されます。
「専門士」は短大卒業者と同等以上、「高度専門士」は大学卒業者と同等以上の学力があると認められます。
②高等課程
中学校を卒業した者に対して教育を行う教育課程で、「高等専修学校」と呼ばれます。
修了時には、学習時間や内容によって大学への進学が可能な場合もあります。
③一般課程
専門課程・高等課程以外の教育を行う教育課程です。
留学ビザの条件
留学ビザの条件は、
・留学ビザに該当する教育機関に入学して教育を受けること
・日本での生活費を賄うのに十分な資産、奨学金、その他の手段があること
(申請人以外の者が生活費を準備する場合でもOK)
留学ビザに該当する教育機関は、上記1.留学ビザが該当する教育機関(学校)とは?で説明したとおりです。
このほかに、日本での生活費をきちんと準備できることが条件となります。
生活費には、学費、教材費、住居費、交通費、食費、渡航費などが含まれます。
留学生の方ご自身で生活費を準備する場合は、本人名義の預貯金や奨学金が含まれます。
奨学金は国費・私費の奨学金だけでなく、「研究助成金」、「学習奨励金」、「生活援助金」といった名称のものであっても、
奨学金とみなされる場合があります。
さらに、留学ビザを取得した場合、原則として働くことはできませんが「資格外活動許可」を取得することで
一定の範囲内でアルバイトをすることができます。
アルバイトで稼ぐことができるであろう収入の見込み額についても、生活費を支弁する手段として認められます。
高校、中学校、小学校、専修学校に入学する場合は、次のような条件が追加されます。
※国、地方公共団体の機関などが行う国際交流計画による留学を除く
◆高校に入学する場合
・年齢が20歳以下
・教育機関で1年以上の日本語の教育、または日本語による教育を受けていること
◆中学校・小学校に入学する場合
・中学校に入学する場合は、年齢が17歳以下であること。小学校に入学する場合は、年齢が14歳以下であること
・日本で申請人を監護する者がいること
・学校に外国人生徒の生活の指導を担当する常勤の職員が置かれていること
・常駐の職員が置かれている寄宿舎その他の申請人が日常生活を支障なく営むことができる宿泊施設が確保されていること
「申請人を監護する者」には、親のほかに、寄宿舎の寮母、日本に滞在している親族、
ホームステイ先の世帯主などが当てはまります。
ちなみに、留学生の親が日本に住んでいない場合、親を日本に呼び寄せるためのビザはないため、
親族や寄宿舎、ホームステイ先を確保する必要があります。
ホテルや旅館などの宿泊施設は、小中学生が一人で生活する施設には適さないため、
留学ビザの条件を満たさないことになります。
◆専修学校に入学する場合(日本語学校、インターナショナルスクールを除く)
・一定の日本語学習歴、日本語能力試験による証明、
日本の学校(小学校、中学校、高校、中等教育学校、特別支援学校、大学、短大、高専)での学習歴のいずれかがあること
・教育機関に生活の指導を担当する常勤の職員が置かれていること
◆日本語学校などに入学する場合
・告示で定められた学校であること
このように、留学ビザを取得できる条件は入学する学校によって異なります。
また、日本の学校ならどこに入学しても留学ビザを取得できる、というわけではないので、
特に大学以外の学校に入学する場合は注意しましょう!
次のページでは、留学ビザを申請するときのポイントを解説していきます!
神戸大学国際文化学部卒業後、大手電機メーカーにて海外営業・マーケティング業務を経験。
育児休業中に行政書士資格を取得し、2015年12月に独立。
開業当初から入管業務(ビザ申請)に特化し、現在では年間500件以上の相談、100件以上の申請を行う。