技能実習生の失踪者増加、急がれる国の対応
日付:2016年1月27日
1.聞いたことある人も多いですよね?外国人技能実習制度の問題点
- 外国人技能実習生の中には途中で失踪してしまう人もいる、という現実
そもそも外国人技能実習制度は、外国人に日本の産業の技術・技能・知識を習得してもらって
それを本国に持ち帰って活用してもらおう、という制度です。人材育成を通して国際貢献しよう!という名目なんですね。
しかし実際は、労働力不足を補うために活用されているケースが多いのが現状で
外国人技能実習生を安価な労働力として採用している企業もあるようです。
(もちろんそんな企業ばかりではありませんよ!)
こうした問題は日本国内にとどまらず、国連やアメリカなどからも批判の対象となっているんです。
国際貢献を謳っていながら…なんとも不名誉ですよね。
実際に、外国人技能実習生の失踪者数は年々増加しているのが現状です。
- なぜ実習生の失踪者数は減らないのか?
外国人技能実習生が失踪してしまう原因は、必ずしも受入れ企業側にあるとは言えませんが、
過酷な労働条件が問題になっているもの事実です。
こうした問題を防止するために、不正行為をはたらいた機関に対しては、
一定期間技能実習生の受入を停止するといった対応がとられることになっています。
例えば、以下のような不正行為が受入停止措置の対象になります。(いずれも5年間受入停止)
・旅券・在留カードの取り上げ
<例>逃走を防止するためという名目で旅券や在留カードを実習実施機関が保管する
・賃金等の不払い
<例>時間外労働を命じながら割増賃金を支払わない
・暴行・脅迫・監禁
さらに、団体管理型で受け入れる場合、管理団体が実習実施機関を管理することが求められており
監査を行ったり訪問指導したりします。しかし、ここにも問題が。
管理団体は、実習実施機関に対するチェックだけでなく、実習生のあっせんも行います。
管理団体は実習実施機関から手数料や管理費を徴収するので、いわば商売相手のような関係とも言えます。
(もちろん、外国人技能実習制度の趣旨からして利益目的の団体は管理団体にはなれませんが)
商売相手に対してチェック機能が適正に働くか?というところも問題視されているわけです。
3.気になる国の対応、今後どうするのか?
現行の外国人技能実習制度に関する問題をうけて
2015年3月6日に技能実習制度の見直しに関する法律案が閣議決定されました。
(ただ、この法案、継続審理入りしておりまして、2016年1月現在まだ可決されていません。)
その中身は、ざっとこんな感じです。
・技能実習計画を認定制とする
→認定の欠格事由を整備、実際の技能実習が技能実習計画の内容と異なるときは認定が
取り消されることとなり、技能実習が続けられなくなる仕組み
・実習実施者を届出制とする
・管理団体を許可制とする
・技能実習生に対する人権侵害行為等について、禁止規定を設け違反に対する所要の罰則を規定する
→現行制度では一部のケースを除いて処罰する規定がない
他にも「介護」職種の追加が検討されていたりして、外国人技能実習制度の大幅な改正になりそうです。
2016年の国会で審議されることになっているので、引き続き注視していきます!
神戸大学国際文化学部卒業後、大手電機メーカーにて海外営業・マーケティング業務を経験。
育児休業中に行政書士資格を取得し、2015年12月に独立。
開業当初から入管業務(ビザ申請)に特化し、現在では年間500件以上の相談、100件以上の申請を行う。