海外にいる外国人を採用する!なら「在留資格認定証明書」
日付:2016年1月6日
1.ビザの取得方法1:使えないヤツ…直接申請
「知ってるようで知らない!「ビザ」とは?」のページでも書きましたが、
外国人の方が日本に入国するためには、基本的にはビザが必要です。
ここで言うビザは「在留資格」ではなく、本当のビザ(査証)です。
(ややこしくてすみません。「在留資格」についてこちら→)
ビザを取得するには海外にある日本の大使館や領事館に行って申請する必要があるんですが、その方法は2通りあります。
1つは、直接申請する方法。
もう1つは、「在留資格認定証明書」を使った方法。
直接申請する方法では、海外にある日本の大使館や領事館や日本の外務省、法務省、入国管理局が
事前協議して行われる方法で、とんでもなく時間がかかるのが一般的です。
これではスケジュールの目途も立てられない・・・つ、使えねぇ・・・。
そのため、外国人を雇用する場面ではほとんど利用されていないので、ここでは詳細な説明は割愛させていただきますね^^
で、断然メジャーなのが、次の「在留資格認定証明書」を使った方法です。こいつは使えます。
2.ビザの取得方法2:使えるヤツ!在留資格認定証明書
「在留資格認定証明書」 Certificate of Eligibility、略してCOEとも呼ばれます。
これは、外国人が日本で行おうとする活動が
在留資格で決められた活動内容に適合していることを証明する証明書です。
要するに、外国人が日本に入国する前に、その外国人がどういった経歴を持っていて、
日本のどこでどんな活動をするのかなどを事前に審査し、OKが出た人に与えられるファストパスのようなものです。
在留資格認定証明書を持ってビザの申請を行えば、
在留資格に関する審査は終えているものとみなされるため
ビザの取得が早くラクに済ませられるという優れものです。
【在留資格認定証明書の申請から日本入国までの流れ】
※STEP②の前に、「短期滞在」ビザで申請人本人が入国していたた場合、
一旦本国に帰国せずに在留資格を変更できることもあります。(くわしくはこちら→)
3.在留資格認定証明書の申請方法
①申請できる人
・申請人本人
・申請人を雇用する企業
・行政書士や弁護士などの専門家 など
申請人を雇用する企業か、行政書士などの専門家に依頼するのが一般的です。
②申請する場所と費用
申請できる場所は次のいずれかになります。
・申請人が住む予定にしている住所を管轄する入国管理局
・申請人を雇用する企業の住所を管轄する入国管理局
申請するのに費用はかかりませんが、公的書類を集めるときに若干の費用がかかることもあります。
(登記事項証明書とかです)
また、当たり前ですが、行政書士などの専門家に依頼したときはその分料金が発生します。
③必要書類
ビザ(在留資格)によって異なりますが、就労ビザ(在留資格)を取得する場合の代表的な書類は以下の通りです。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真
- 返信用封筒
- 雇用契約書
- 履歴書
- 大学の卒業証明書(卒業証書でもOK)
- 勤務先の登記事項証明書
- 勤務先の会社案内書(パンフレットなど)
- 勤務先の決算書(直近のもの)
- 前年度の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
- 招へい理由書
※在留資格の種類や本人の状況、勤務先の状況等により必要書類は異なります。必ず事前に確認してください!
4.といっても、在留資格認定証明書も万能ではない
申請人を雇用する企業の担当者が、申請人本人に代わって在留資格認定証明書の交付申請を行ったとします。
大体1カ月~3カ月ほどで審査が終わり、
審査にパスすれば簡易書留で在留資格認定証明書が送られてきます。
(申請書といっしょに添付した返信用封筒で送られてきます。)
在留資格認定証明書は少し分厚い紙なので封筒を開けなくても入っているか入っていないか(パスしたかパスしていないか)
なんとなくわかります。ドキドキの瞬間ですね!
無事に在留資格認定証明書が送られて来たら、次はこれを海外にいる外国人の方に送ります。
そしてその外国人の方が、在留資格認定証明書をもって日本の大使館や領事館にビザ申請をしにいくと、
たいていの場合2~3日でビザがおります。(場合によっては数週間かかることもあります。)
ここで気を付けたいのは、
・有効期限内に日本に入国すること
・失くさないように注意すること
在留資格認定証明書には有効期限があります。
発行後3カ月以内にビザを申請し日本に入国しないと期限切れとなり
せっかく取った在留資格認定証明書がただの紙クズになってしまいます。
日本の担当者が費やした時間と労力が水の泡…にならないように、スケジュール管理には気を付けましょう。
また、在留資格認定証明書を日本から海外に送るときに何らかのトラブルに巻き込まれる可能性も考えられます。
これはもう不可抗力のようなものなので防ぎようがないですが
できるだけ信頼できる発送手段や業者を使って送り、きちんと本人に届いたかどうか入念にチェックするようにしましょう。
在留資格認定証明書を受け取った本人がトラブルに巻き込まれたり、どこかに忘れてしまったりというケースもあります。
大事にしまったつもりがいつのまにかどこかへ行ってしまうあのケース。冷や汗ものですよね。
もしも、万が一、在留資格認定証明書を失くしてしまった!という場合は
日本で再申請ということになります。一からやり直し。ガーン。
書類はすべて揃っているとはいうもののまた入国管理局に行って申請して審査を待って…
となれば大変ですよね。焦ります。
本人には細心の注意を払ってビザ申請・入国に臨んでもらいましょう。
このように、在留資格認定証明書が発行されたからと言って
油断することなく最後まで慎重に進めていきましょう!
神戸大学国際文化学部卒業後、大手電機メーカーにて海外営業・マーケティング業務を経験。
育児休業中に行政書士資格を取得し、2015年12月に独立。
開業当初から入管業務(ビザ申請)に特化し、現在では年間500件以上の相談、100件以上の申請を行う。