ホテルで外国人を雇用して就労ビザを申請する場合に気をつけること
日付:2016年3月14日
訪日外国人旅行者数が大幅に増加して、インバウンドビジネスの盛り上がりはすごいことになってきていますね。
それに伴い、ホテル・旅館では外国人を採用して外国人旅行者への対応をお願いしたい!といったところも多いようです。
しかし、接客や清掃のような単純作業を行う場合、基本的には就労ビザはおりません。
このページでは、ホテル・旅館が外国人を雇用して就労ビザを申請するときに
気をつけたいポイントについて説明していきます!
ホテル・旅館で外国人が働く場合の就労ビザの条件
就労ビザの条件は、以下の3つがポイントになります。
①業務内容が単純労働ではないか?
②学歴(または職歴)が業務内容とマッチしているか?
③雇用する側(ホテル・旅館)の規模は関係するか?
①業務内容が単純労働ではないか?
ホテルや旅館での業務は、フロントやドアマン、コンシェルジュ、客室清掃、ベッドメイキングなどいろいろありますよね。
ホテル・旅館で就労ビザを取る場合は、翻訳・通訳業務(フロントやコンシェルジュ)がほとんどです。
客室清掃やベッドベイキングといった業務内容では就労ビザはおりないので注意してください。
②学歴(または職歴)が業務内容とマッチしているか
フロントやコンシェルジュとして翻訳・通訳を行ったり、従業員への語学指導を行う場合、次のいずれかの条件を満たしている必要があります。
- 行おうとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験があること
- 大学を卒業していること(大学を卒業していれば学部に関わらず実務経験は問われません。)
また、翻訳・通訳する言語と外国人従業員の母国語が一致することが必要です。
母国語と一致しない場合でも、大学で語学を専門的に学んでいた場合は問題ありません。
(例えば、中国人の方が外国語大学で英語を専攻していた場合は英語⇔日本語の通訳ができます)
③雇用する側(ホテル・旅館)の規模は関係するか?
就労ビザの申請をするときに
「個人事業主は無理?」
「今年オープンしたばっかりで実績がないと無理?」
「ゲストハウスで規模が小さいと難しい?」
といった質問をよく耳にします。
これらの質問の答えはすべて「いいえ、関係ありません!」です。
個人事業主でも、オープンしたてでも、ゲストハウスでも、
事業の規模は就労ビザの取得の可否に関していえばあまり関係がありません。
(ただし、大規模であるほど、実績があるほど、『信頼性がある』という面では審査はスムーズかと思いますが)
それよりは、先に説明した業務内容と学歴(または職歴)が重要です。
個人事業主が経営するオープンしたてのゲストハウスでもこれらの条件をクリアしていれば
就労ビザを取得できる可能性は十分ありますが、いくら大規模なホテルであっても
これらの条件を満たしていないと絶対に就労ビザはおりません。
就労ビザを持った外国人がホテル・旅館で行えない業務
就労ビザでは単純労働や肉体労働ができないので、次のような業務は原則できません。
・外国人の利用者がそれほどないホテル・旅館での翻訳・通訳業務
・清掃、ベッドメイキング
・レストランでの配膳・片付け
・駐車誘導 など
ただし、研修の一環で採用初期だけ行う場合や、フロントで対応中に急きょお客さまの荷物を運ぶことになったなど
やむをえない場合などは問題ありません。
その場合もあくまでも主な活動は就労ビザで決められている業務でなければならないので、
結果的に上記のような単純作業が主な業務になった場合は更新の際に不許可になる可能性もあるので注意が必要です。
ホテル・旅館で働ける外国人の具体例
2015年12月に法務省から「ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について」という文書が公表されました。
その中で、許可・不許可の具体的な事例が掲載されていますので確認してみてください。
例えば、以下のような事例が掲載されています。
【許可事例】
①本国において大学の観光学科を卒業した者が,外国人観光客が多く利用する本邦のホ
テルとの契約に基づき,月額約22万円の報酬を受けて,外国語を用いたフロント業務,
外国人観光客担当としてのホテル内の施設案内業務等に従事するもの
②本邦において経営学を専攻して大学を卒業した者が,外国人観光客が多く利用する本
邦のホテルとの契約に基づき総合職(幹部候補生)として採用された後,2か月間の座
学を中心とした研修及び4か月間のフロントやレストランでの接客研修を経て,月額約
30万円の報酬を受けて,外国語を用いたフロント業務,外国人観光客からの要望対応,
宿泊プランの企画立案業務等に従事するもの
【不許可事例】
①本国で経済学を専攻して大学を卒業した者が,本邦のホテルに採用されるとして申
請があったが,従事する予定の業務に係る詳細な資料の提出を求めたところ,
主たる業務が宿泊客の荷物の運搬及び客室の清掃業務であり,
「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事するものとは認められず不許可となったもの
②本国で日本語学を専攻して大学を卒業した者が,本邦の旅館において,外国人宿泊
客の通訳業務を行うとして申請があったが,当該旅館の外国人宿泊客の大半が使用す
る言語は申請人の母国語と異なっており,申請人が母国語を用いて行う業務に十分な
業務量があるとは認められないことから不許可となったもの
しかし、これらもあくまで一例なので実際の審査では個別に判断されます。
うちの場合はどうなるのか?不安な方は、専門の行政書士や入国管理局などにご相談されることをオススメします!
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神戸大学国際文化学部卒業後、大手電機メーカーにて海外営業・マーケティング業務を経験。
育児休業中に行政書士資格を取得し、2015年12月に独立。
開業当初から入管業務(ビザ申請)に特化し、現在では年間500件以上の相談、100件以上の申請を行う。