配偶者ビザを持っているけど離婚を考えている方がよむページ
日付:2016年7月6日
配偶者ビザを持ってるけど離婚を考えているという方、別居が長引いたり離婚が成立する前にこのページを読んでください!
きちんと対応しないと日本に滞在し続けられなくなることがあります!
日本では離婚件数・離婚率とも増加傾向にあります。
2013年の離婚率はなんと35%。(厚生労働省「平成22年人口動態統計」より)
3組に1組が離婚している計算になりますね。
では、配偶者ビザを持っている外国人の方が離婚した場合、日本に残れるの?ビザはどうなるの?と疑問に思いますよね。
離婚すると配偶者ビザのままでは日本にいられません。
もともと配偶者ビザは「日本人の配偶者」という地位(立場)に与えられるビザなので、それがなくなると自動的に配偶者ビザに該当しなくなります。
さらに、6カ月以上配偶者としての活動(例えば、同居して共同生活を送っている等)を行っていなければ、
正当な理由がある場合を除いて在留資格取消の対象となるので、離婚した後に何も手続きをしないと
ビザ(在留資格)が取り消されて出国しなければならなくなる可能性があります。
ちなみに、「正当な理由」に該当するのは、こんな場合です。
・配偶者から家庭内暴力(DV)を受けていて、一時的に非難・保護を必要としている場合
・配偶者と別居しているが、子どもの養育などやむをえない事情で生計を一にしている場合
・本国の親族の疾病などの理由で、長期間の出国をしている場合
・離婚調停・離婚訴訟中の場合
そのため、離婚後も日本で生活したい!とお考えの方は、ビザの変更手続きが必要になります。
配偶者ビザからの変更には次のような3つのパターンがあります。
- 離婚した(しようとしている)配偶者との間に子どもがいる場合
- 子どもはいないが、婚姻期間が3年程度以上である場合
- 子どももいないし、婚姻期間が3年に満たない場合
1.離婚した(しようとしている)配偶者との間に子どもがいる場合
日本人の配偶者の間に子どもがいる場合は、「定住者」ビザへの変更が考えられます。
この場合、次の2つの条件を満たしている必要があります。
①外国人の方が子どもを養育していく必要があること(親権を持っている)
②外国人本人と子どもを含めた家族が生活していける資産や安定した収入があること
離婚にともなって配偶者ビザから定住者ビザへの変更申請する際は、離婚に至った経緯や理由が重視されるので、
結婚から離婚に至った理由を詳しく説明するようにしましょう。
離婚による定住者ビザへの変更は、明確な条件があるわけではなく、必ず許可されるというものでもありません。
申請準備は慎重にていねいに行いましょう!
2.子どもはいないが、婚姻期間が3年程度以上である場合
日本人の配偶者の間に子どもがいない場合も、婚姻期間が3年程度以上続いていれば「定住者」ビザに変更できる可能性があります。
この場合、外国人の方が生活していくのに十分な資産や収入があることが求められます。
婚姻期間の条件は、法律で「3年」と決められているわけでなく、実務上「3年程度」とされているだけですので、
あくまでも目安(最低ライン)と考えてください。
この場合も、上記1.と同じように、申請の際は離婚に至った経緯や理由が重視されるので、
結婚から離婚に至った理由を詳しく説明するようにしましょう。
3.子どももいないし、婚姻期間が3年に満たない場合
子どももいないし、婚姻期間も3年に満たない場合は「定住者」ビザではなく就労ビザへの変更を目指しましょう。
ただし、配偶者ビザであれば仕事内容に制限がないのですが、就労ビザの場合は仕事内容や本人の学歴・職歴などの条件を満たす必要が出てきます。
飲食業の接客や介護の現場、工事現場や工場での単純作業では残念ながら就労ビザは下りません。
現在の職業がいずれかの就労ビザに該当し、かつ、本人の学歴・職歴などの条件を満たす場合は
就労ビザへの変更が可能なので、一度、就労ビザへの変更ができるかどうか確認してみてください!
【代表的な就労ビザの種類】
職業(業務内容) | 就労ビザの種類 |
設計、営業、経理、法務、翻訳・通訳、語学学校の講師など | 技術・人文知識・国際業務 |
料理人(日本料理は×) | 技能 |
小・中・高校などの語学教師 | 教育 |
経営者(個人事業主) | 経営・管理 |
離婚するのは結婚するときよりエネルギーを使うとよく聞きますが、離婚後も日本で生活したい方はビザのこともきちんと確認しておきましょう!
特に婚姻期間が短く子どももいない場合や就労ビザの条件も満たしていない場合は、
配偶者ビザ以外のビザに変更するのは難しくなってきます。くれぐれも慎重に検討してくださいね。
神戸大学国際文化学部卒業後、大手電機メーカーにて海外営業・マーケティング業務を経験。
育児休業中に行政書士資格を取得し、2015年12月に独立。
開業当初から入管業務(ビザ申請)に特化し、現在では年間500件以上の相談、100件以上の申請を行う。