気になる!経営・管理ビザの許可事例と不許可事例を紹介します
日付:2018年4月26日
「経営・管理ビザの条件も必要書類もわかったけど、自分は本当に大丈夫かな…」
経営・管理ビザはビザ申請の前に投資をして事業の準備をしておかないといけないので心配になる方もいらっしゃると思います。
そんな方のために、このページでは実際に許可された事例と不許可になった事例をご紹介します。
これを見れば、不安が安心に変わる…はず!
経営・管理ビザの許可事例
まずは、当事務所で申請して許可された実際の事例についてご紹介します!
事例①:500万円全額を母親から援助してもらい株式会社を設立し、貿易業を始めるケース
<プロフィール>
30代中国人男性・独身
日本の大学を卒業後、日本の会社に就職し、「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得。
数年後に退職し、独立。「技術・人文知識・国際業務」ビザから「経営・管理」ビザへ変更を希望
<許可のポイント>
一見、何の問題もなさそうな案件ですが、500万円の出所を証明するのが大変でした。
なぜなら、
①中国に住んでいる母親からの援助であり
②中国から日本へ500万円の送金ができないので数回にわけて現金で日本に持ち込んでいた
ためです。しかも日本では銀行にあずけずタンス預金で保管していたとのこと。
経営・管理ビザの場合、500万円をどのように準備したのか証明することがいちばん重要なポイントの1つです。
そのため、このケースのときは、次のような書類を準備しました。
- 母親と申請人との関係を証明するための「親子関係公証書」
- 母親の在職証明書
- 母親の納税証明書
- 母親の銀行口座からお金を引き出したことがわかる預金通帳のコピー
- 現金を持ち込んだ際の出入国歴がわかるパスポートのコピー
ただし、海外から現金で持ち込む場合はそれを書類で持ち込むのが難しいので、できるだけ避けたほうが無難です。
500万円を準備する場合は「書類で証明することができるか?」ということを確認してすすめましょう。
※上記の書類はあくまでも参考例です。これを準備したら必ず許可されるというものではないのでご注意ください。
事例②:500万円全額を日本在住の協力者(親族)から援助してもらい株式会社を設立し、店舗でアパレル販売を始めるケース
<プロフィール>
30代韓国人男性・既婚
韓国で会社員として働いていたが、日本での起業を希望。
日本在住の親族の協力を得て株式会社を設立し、「経営・管理」ビザを申請
<許可のポイント>
海外在住の外国人の方が日本で株式会社を設立するケースです。
株式会社を設立するための手続きでは、「日本の銀行口座に資本金を入金する」必要があります。
通常は、発起人(資本金を払い込む人)名義の銀行口座に資本金を入金するのですが、
海外在住の外国人の方の場合、日本の銀行口座を持っていないのが普通です。
そのため、少し工夫が必要になってきます。
やり方の1つは、日本の銀行口座を持っている方に協力してもらい、
資本金を振り込むために口座を使わせてもらう方法です。
この案件の場合は、いったん日本在住の協力者の方にも代表取締役に就いてもらい、
申請人(海外在住外国人)の方が協力者の方の銀行口座に資本金を振込む方法で株式会社を設立しました。
(協力者の方は出資していません)
まとめると、こういうことです。
- 設立時の代表取締役は2名(ビザ申請人、日本在住の協力者)
- 資本金の出資はビザ申請人のみ(日本在住の協力者の方の口座に入金)
※代表取締役が2名いると、「どっちが経営権を持ってるの?」と疑われる可能性があるので、
経営・管理ビザを取得後に協力者の方には代表取締役を辞任してもらいました。
日本の銀行口座を持っていない外国人の方が会社を設立する場合、
協力者の方に役員に入ってもらわなくても会社を設立することができます。
この場合、外国人の方お一人が代表取締役の会社を設立することになります。
ただ、ビザを持っていない外国人の方が代表取締役の会社の場合、賃貸契約を締結したり、
法人名義の銀行口座を開設するのが難しいという問題があります。
経営・管理ビザを申請するためには、法人名義で事務所の賃貸契約を締結しておくことが必須ですので、
日本在住の協力者の方に代表取締役に就いてもらう方がスムーズに進むことが多いです。
経営・管理ビザの不許可事例
続いて経営・管理ビザの不許可事例について紹介していきます。
まずは、経営・管理ビザで不許可になる理由として多いのがこちら。
経営・管理ビザのよくある不許可理由
- 提出した事業計画書の内容が事業の継続性が見込めない内容
- 事務所の賃貸借名義人が法人名義ではない
- 事務所・店舗の使用目的が事業用になっていない
- 事務所に看板や標識がない。
- 500万円の出所が不明または書類で証明できない
これらは基本的な経営・管理ビザの要件ですが、意外と理解していない方が多いです。もったいないですね。
経営・管理ビザの不許可事例(解説つき)
次に法務省のホームページで不許可事例として掲載されちる事例を解説をまじえながら紹介します!
事例①:事務所の看板や事務所内の備品
株式会社を設立し、経営・管理ビザの申請を行ったが、郵便受けや玄関には事業所の標識・看板はなく、
室内にも事業運営に必要な設備・備品等は設置されていなかった。
また、従業員の給与簿・出勤簿もなく、室内には日常生活品があるのみだった。
<解説>
・まずは郵便受けや玄関に会社の看板がない、というところです。
経営・管理ビザを申請するときは、第三者からみて「ここに会社がある」ということが明らかなように、
郵便受けや玄関には会社のネーププレートや看板を設置し、それを写真に撮って提出しましょう。
・室内の様子も写真に撮って提出します。このとき、事業を開始するのに必要な備品を設置しておきましょう。
デスク・椅子・パソコン・キャビネットなど、ご自身が始める事業に必要なものがそろっていれば大丈夫です。
事例②:事務所の賃貸契約の内容
株式会社を設立し、経営・管理ビザの申請を行ったが、事業所が法人名義でも経営者の名義でもなく
従業員名義で契約されており、従業員の住居として使用されていたこと、
当該施設の光熱費の支払いも同じ従業員名義であったこと、
この物件を住居目的以外での使用することの貸主の同意が確認できなかった。
<解説>
・契約の名義は設立した会社の名義である必要があります。
登記前に社長個人名義で契約し、登記完了後に法人名義に変更することが多いです。
この場合、物件の貸主に名義変更をしたいことを事前に伝えておきましょう。
・原則、賃貸契約が「住居目的」だとNGですが、貸主が住居目的以外で使用することに同意している場合は、問題ありません。
この場合、同意書や覚書などを作成しておきましょう。
経営・管理ビザの場合、不許可になるのはそもそも経営・管理ビザの要件を正しく理解していないから、
という理由が多いです。
※経営・管理ビザの要件はこちらのページで確認!→「経営・管理ビザのすべてがわかる!許可をとるための条件・必要書類・法改正による変更点」
そのため、不許可になったとしても、きちんと要件をみたすように契約書を締結し直す、事務所の体制を整える…
といった対策が打てることが多いので、不許可の理由をきちんと確認してあきらめずに再申請にトライしましょう!
当事務所では、「不許可になってしまった…!」という方のお手伝いもさせてもらいますので、お気軽にご相談ください^^
神戸大学国際文化学部卒業後、大手電機メーカーにて海外営業・マーケティング業務を経験。
育児休業中に行政書士資格を取得し、2015年12月に独立。
開業当初から入管業務(ビザ申請)に特化し、現在では年間500件以上の相談、100件以上の申請を行う。